ロンドンの澤野です。
ブライアンは医師から、死の宣告を受けて、すぐに遺書を書きました。
その中に、
「私は 無宗教なので、遺体は灰にしてから、死後2ヶ月後に、
  自分が一番好きだった、山の頂上に行って撒いて欲しい」
そして その山に登る参加者には10名を指名していました。
散骨の日は、
悪天候で雨も風もある登山には不向きな日でしたが、
私たち10名はロンドンから電車で1時間30分南下し、
そこから片道3時間の行脚の旅が始まりました。
かなり急な上り下りする山道は
彼が好きだった英国特有のフリンッツという滑りやすい石が所々に見え隠れする、強行軍でした。]
山の頂上に出ると、その一角に聖地のような森があり、
彼は良くここで数時間もかけて、スケッチブックを片手に、
新しい建築のデザインを考えていたそーです。
リックサックの中に入れて持参した骨壷は、
高さ約50cmもある円形のダンボールで出来たもので、
その蓋を開けると小さな穴が空いていて、それを逆さまにして灰を30分かけて、奥さんが撒きました。
人間一人の灰の量の多さに驚かされました。
その後、骨壷に火をつけ、燃えきるまで、
全員で黙祷をしましたが私は心の中で般若心経を唱え、
日本から買ってきた線香に火を付け、
彼の冥福を祈りましたが清らかな微風が何処からともなく吹き始め、
全員の涙を注ぎました。
シンプルでしたが、
重い墓石の下に葬るより、自分の好きだった場所に散骨する方が、
本来の姿なのではないかと考えさせられる葬儀でした。
その後 山を降りた所にある、
彼が必ず立ち寄ったパブに行って、
皆んなで彼の好きだったビールで乾杯し、
彼の冥福を祈りました。
ロンドン便りー9***ブライアンの死ーその2***

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