退会のご挨拶

 

土瀬戸 鹿千

私、土瀬戸鹿千は、2017年12月31日をもって、一般社団法人国際墨画会から退会させていただくこととなりました。長きにわたり、ご助力、ご厚情を賜り、まこと感謝に堪えません。香取琴水会長にご了解をいただきましたので、感謝のことばに続いて、思うところを述べさせていただくことといたしました。まず、退会いたしましますので、当然のことながら、以後、会員として活動することはございません。また、師範、講師資格を返上もうしあげますので、今後、国際墨画会展に出品する場合は、一般枠で臨ませていただきます。

私は、退会する時期を常々考えてまいりました。実のところ、一度、機会を逸したのではないかと思っておりました。出処進退は、出るは人任せでよいのですが、退くことが難しいのです。私は、皆様、ご存じのとおり創業者でも創始者でもございません。

いわば藩祖香取琴水の執政役を仰せつかまいりました。人の生涯と異なり、承継がよくなされれば半永久的にも生命を維持できるのが法人組織です。本来は、香取会長を中心に次世代、次々世代を担うべき方々を育成できればよかったのですが、自身の後半生を真摯に考えなければならない時期を迎え、転進を図るべき時となりました。ならば後進の方の負担にならないように、一切の痕跡を消して退会させていただくことといたしました。長く運営に携わらせていただいた痕跡もすでにありません。残るは、資格者リストの一番上にある師範名を削除すれば、痕跡は一切なくなります。

未来への扉を開けるときに、前方ではなく、後ろから来る方に気を配るべきだと私は固く信じております。私のように長く、草創期からかかわっているものがいると、先例にされ、比較対象にされることもあるやしれません。ならば、消し去ってしまったほうがよいと考え、痕跡を消させていただくこととしました。影響力を一切排除する良い方法は、己を空しくすることだと思います。本来、退くは本人よりも後進の方に配慮されるべきです。

さすがに資格返上に対し、香取琴水会長は、「じゃまになるものでもない」と仰せをくださいました。免状を突き返すことにはおよびませんでしたが、本来は非礼なことと存じます。実際のところ私は、筆力を買われて役員になったのではありません。水墨画の普及啓蒙のために、必要な組織づくりのために、小生のわずかばかりの経験と知識が必要であるとお申し出くださった香取琴水会長の言に、義を感じ、勇をふるったのみです。

好きに描けば、すこしは個性に見るべきところもあるやしれませんが、香取琴水会長が、立命の志として、未来に伝えたい美しい日本の水墨画を描くことが、正直できません。

師範や講師を名乗ることは、精神障害を引き起こしてしまいそうです。現世に生あるうちにご返上をせねば、魂が承知してくれません。体系的な水墨画の教習は、一切、行わないという決意とともに返上させていただきます。私に水墨画を手ほどき受けた方は、まことに申し訳ありませんが、私の名前とともにそれらをご放念くださいますようにお願いもうしあげます。

ところで、正会員ならびに準会員の方に申し上げたいことがございます。会に戻りませんので、最後に吐く毒とご笑覧ください。

まず、国際墨画会に出会えられた方は、まったく幸運だといえるでしょう。偶然でしかありません。以下を真剣に家族の手を借りてでも調べていただきたいのです。

・国立美術館博物館で公募展は、年間どのくらい開催されているか?その団体数は?

・国立美術間博物館で開催される公募展の出品料金はどのくらいか?

・水墨画教室で、資格を取得することができて、教育実習や指導者派遣する団体数は?

・水墨画の普及啓蒙のために、カリキュラム公開し、習得計画が立てられる団体数は?

・海外展を日本国外務省や在外公館や各国政府から招聘を受けて開催する団体数は?

・海外展(ほとんどは営利目的旗幟企業主催)の出品料金はどのくらいか?

毒を吐くようではありますが、いい年をしてといわれるような立場にある方は、よくよく自らがおかれた厚遇されている状況を自覚すべきです。いい年は、昔の五十歳、いまは八掛けの四十歳と想定しています。

国内外に水墨画を普及啓蒙する組織が、国際墨画会です。香取琴水会長は、日本の美意識が長い歴史の中で育てた水墨画、東洋伝統の水墨画の技法描法を広めるために国際墨画会を発足させました。技法描法は、個人で習得するものですが、私のものとせず、自分以外の誰かに伝えることを使命に行動するのが、国際墨画会という社団の構成員たる正会員、準会員たる責務です。人生を豊かにとは、自他ともに喜びを見出すことです。他者のために、水墨画を活かしてください。

会長は、一番前に座っている人です。お手本のない道を歩んでこられました。構成員たる正会員、準会員は、なんとしても後ろから必死にお支えいただきたい。これまでの実績は過去のものです。国立新美術館の利用は既得権ではありません。同様に中央官庁の後援や賞の付与も既得権ではありません。毎年、基準を満たし続けて与えていただいています。一回休みをすると、0から再スタートしなければなりません。毎日、毎月、毎年、目標を達成し続けてこそ得られる国際墨画会展であると自覚いただきたい。

2020年は、オリンピックの年であると同時に、女性の2人に1人が50歳以上になります。子どもの出生が困難な社会になります。2024年には65歳以上が3人に1人になります。水墨画の真の普及啓蒙によって若い世代に会員組織を拡大させ、国内外の外国人の方に普及啓蒙し、国際墨画会の組織や国際墨画会展を真に常に国際化をはからねば、早晩、寄りどころを失うこととなるでしょう。「組織に持たれるな」ともうしあげたい。思うところがあれば、「ひとりでも立て」ともうしあげたい。奮起せよ、香取琴水の姉妹兄弟、娘息子よ。必死に精進せねば、渋谷の教室を枕に討ち死にと覚悟せよ。さらば、愛しき我が家、国際墨画会。

不一

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